遠くの文字がにじむ、夕方になると目の奥が重い。そうしたお困りごとの背景には、近視・遠視・乱視といった屈折の問題が隠れていることがあります。このページでは、目がピントを合わせる仕組みから、それぞれの症状・原因・矯正の考え方までを整理してご説明します。気になる見えにくさがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
蒲田ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。
目が見える仕組み(正視とは)

私たちがものを見るとき、光はまず角膜を通ります。次に水晶体がレンズの役割を果たし、光の曲がり方を細かく調整します。こうして進んだ光が網膜の上でちょうど像を結ぶ状態が「正視」です。
眼球の奥行きを眼軸長といい、この長さとレンズの屈折力の釣り合いでピント位置が決まります。釣り合いが崩れ、網膜以外の場所で像を結ぶ状態をまとめて屈折異常と呼びます。
網膜より手前で焦点が合うのが近視、後ろで合うのが遠視になります。角膜や水晶体のゆがみで光が一点にまとまらない状態が乱視です。近くを見続けた後に一時的に遠くがぼやける仮性近視は、眼軸が伸びた本当の近視とは区別して考えます。
近視(きんし)とは

近視は、網膜よりも手前で光の焦点が合ってしまう屈折異常です。多くは眼球の奥行きである眼軸長が伸びることで起こります。手元の文字ははっきり読めるのに、遠くの看板や黒板がにじんで見えます。
一度伸びた眼軸は元の長さに戻りません。そのため近視は、進行を抑えながら矯正していく考え方が中心になります。
一方、長時間の近業でピント調節の筋肉がこわばることがあります。一時的に遠くが見えにくくなるこの状態は仮性近視と呼び、真の近視とは分けて扱います。
近視の症状
近視の代表的なサインは、遠くのものがぼやけて見えることです。度合いが強くなるほど、はっきり見える距離は手前に近づきます。
お子さまでは、黒板の文字が読み取りにくい、テレビに近づいて見るといった変化が先に現れます。無意識に目を細めるしぐさも、ピントを合わせようとする反応のひとつです。
大人の方では、運転中の標識や人の顔が見分けにくくなります。夜間は瞳孔が開いて焦点のずれが大きくなるため、暗い場所で特に見えにくさが増します。見づらさを我慢したまま過ごすと、肩こりや頭痛にもつながります。
近視の原因
近視の主な仕組みは、眼軸長が標準より長く伸びることです。成長期には身長とともに眼球も大きくなるため、この時期に近視が進みやすくなります。
背景には遺伝的な体質があります。ご両親に近視がある場合、お子さまも近視になりやすい傾向があります。加えて、読書やスマートフォンなど近距離作業の多い生活も影響します。屋外で過ごす時間の短さも、進行に関わる要因として知られています。
近視は大きく二つに分けて考えます。眼鏡やコンタクトレンズで良好な視力が得られる状態が単純近視です。一方、眼軸が過度に伸びて網膜や視神経に変化が及ぶものは病的近視と呼ばれます。矯正しても視力が上がりにくくなり、経過観察が欠かせません。
近視の進行抑制治療(主に成長期向け)
いったん伸びた眼軸は短くなりません。そのため成長期のうちに、伸びるスピードをゆるやかにする取り組みが役立ちます。近視の進行抑制は、見え方を補う矯正とは目的が異なります。
当院では生活環境の見直しに加え、進行抑制の選択肢をご案内しています。オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼が代表的な方法です。
いずれも、効果の見込みや通院の頻度は検査結果をふまえてご説明します。適応となる年齢や条件はそれぞれ異なり、費用の扱いも方法によって変わります。学校健診で視力低下を指摘された時点でご相談いただくのが安心です。
オルソケラトロジー(夜間装用レンズ)
オルソケラトロジーは、就寝中に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用する方法です。眠っている間に角膜のカーブをゆるやかに変え、起床後にレンズを外しても日中は裸眼で過ごせます。
オルソケラトロジーで承認されている使用目的は、日中活動時の裸眼視力を向上させることです。近視の進行を抑える働きも報告されていますが、これは承認された使用目的には含まれません。また日本眼科学会のガイドラインでは、適応年齢を原則20歳以上とし、未成年の方への処方は慎重に判断することとされています。当院では治療内容とリスクを保護者の方に十分ご説明し、ご理解をいただいたうえで検討します。
日中に眼鏡が要らないため、スポーツに取り組むお子さまにも選ばれる方法です。当院では年齢や角膜の形状、涙の状態をみて適応を判断します。角膜の形によっては適応外となることもあります。
この治療は自由診療で、公的医療保険の対象外です。初期費用と定期検査の費用は診察時にご案内します。見え方が安定するまでには、1〜3か月ほどみておいてください。
低濃度アトロピン点眼
低濃度アトロピン点眼は、濃度を薄めたアトロピンを就寝前にさす方法です。眼軸が伸びる速さをゆるやかにし、近視の進行を抑えることを目的とします。使用量や回数は、医師の指示に沿って決めていきます。
作用の仕組みは、まだ完全には解明されていません。ピント合わせの力を抑える働きとは別の経路で、眼球の成長に関わっていると考えられています。効果の出方には個人差があります。
国内では2024年12月に、「近視の進行抑制」を効能・効果とする低濃度アトロピン点眼薬が承認されました。5歳から15歳のお子さまが対象です。当院で使用する製剤の種類、費用、公的医療保険の取り扱いについては、診察時に書面を添えてご説明します。
副作用として、まぶしさや手元の見えにくさが出ることがあります。症状が続くときは、点眼を続けるかどうか一緒に判断します。開始後は眼軸長と度数の変化を定期検査で確かめながら、数年単位で続けていきます。
生活習慣での近視予防
日常の過ごし方も、近視の進み方を左右します。屋外で過ごす時間が長い子どもほど、近視になりにくいと考えられています。外遊びや部活動など、屋外で体を動かす時間を意識してみてください。
近くを見続ける時間には区切りをつけましょう。作業の合間に遠くへ視線を移すと、ピント調節の負担がやわらぎます。
読み書きやタブレットは、目に近づきすぎない距離を保つことが大切です。手元が暗くならない明るさに整え、寝転んだままの読書やスマートフォン操作は避けてください。
仮性近視(偽近視)について
仮性近視は、ピントを合わせる毛様体筋が緊張したまま緩まない状態です。一時的に近視のような見え方になり、偽近視や調節緊張とも呼ばれます。ゲームや読書に長く集中した後の学童期に多くみられます。
眼軸が伸びる真性近視と違い、筋肉の緊張が解ければ視力は戻ります。ただし両者を自覚症状だけで区別することはできません。調節を一時的に休ませる目薬を使い、屈折を測る検査でどちらの状態かを見分けます。
治療では、毛様体筋の緊張をゆるめる点眼薬を就寝前に使うことがあります。あわせて、近くを見続ける時間を短くする生活の見直しを行います。点眼だけで解決するものではないため、生活面の調整と合わせて経過をみていきます。
ただし仮性近視から真性近視へ移行することもあります。視力が回復した後も、定期的な検査を続けてください。
近視を放置するとどうなる?
見えにくさを我慢して過ごすと、目を細める癖や前かがみの姿勢が定着します。肩こりや頭痛が長引き、お子さまでは学習や運動の妨げにもなります。
さらに注意したいのが、強い近視に伴う目の病気です。眼軸が伸びた目では網膜が引き伸ばされて薄くなります。その結果、網膜剥離や網膜裂孔が起こりやすくなります。
また、視神経にも負担がかかるため、緑内障のリスクにも注意が必要です。網膜の中心部が傷む近視性の黄斑症が生じることもあります。
これらは初期の自覚症状に乏しく、進行してから気づくことが少なくありません。矯正の有無にかかわらず、年に一度は眼底を含めた検査をお受けください。
遠視(えんし)とは

遠視は、光の焦点が網膜よりも後ろで結ばれる屈折異常です。眼軸が短い、あるいは角膜や水晶体の屈折力が弱いことで起こります。
「遠くはよく見える目」と受け取られがちですが、実際は違います。遠くを見るときも近くを見るときも、水晶体を厚くしてピントを補い続けています。目が働き詰めになるため、見えにくさより疲れやすさが前面に出ます。
遠視の症状
遠視でまず現れるのは、遠くの見えにくさよりも目の疲れです。近い距離ほどピント合わせの負担が増すため、読書やパソコン作業で症状が強まります。
大人の方では、夕方に文字がにじむ、目の奥が重い、頭痛や肩こりが続くといった訴えが目立ちます。調節力が落ちる40代以降は、手元の見づらさを一気に自覚します。
お子さまの場合、本を長く読み続けられない、勉強に集中できないという形で表れます。強い遠視では片方の目が内側に寄る内斜視が生じることもあり、注意が必要です。
遠視の原因
遠視の背景は大きく二つあります。一つは眼球の奥行きである眼軸長が標準より短いこと、もう一つは角膜や水晶体の屈折力が弱いことです。多くは生まれつきの目の形によって決まります。
赤ちゃんの目はもともと眼軸が短く、軽い遠視の状態から出発します。成長に伴って眼球が大きくなり、多くは正視へ近づきます。この過程が十分に進まないと遠視が残ります。
遠視の目は、ピントを合わせるために水晶体を厚くする調節を絶えず働かせています。休むひまがないため眼精疲労が起こりやすく、年齢とともに調節力が落ちると見えにくさが表面化します。
遠視の矯正(凸レンズ)と子どもへの注意
遠視は凸レンズで光を手前に集め、網膜上に焦点が来るように矯正します。眼鏡やコンタクトレンズの詳しい選び方は後述しますが、遠視には子ども特有の注意点があります。
お子さまは調節力が強く、遠視があっても自力でピントを合わせてしまいます。そのため学校の視力検査を問題なく通過することが珍しくありません。見え方の訴えがないまま、目だけが疲れ続けている状態が生まれます。
強い遠視を放置すると、網膜にはっきりした像が届かず視力の発達が止まり、弱視につながります。無理な調節に引きずられて目が内側へ寄る調節性内斜視も起こります。視力が育つ大切な時期は幼児期から学童期の前半で、この時期のうちに矯正を始めることが大切です。
まずは調節麻痺薬(ピント合わせの力を一時的に休ませる目薬)を使い、正確な度数を確かめます。そのうえで、適切な眼鏡による矯正を早めに始めましょう。
乱視(らんし)とは

乱視は、角膜や水晶体のカーブが向きによって異なるために生じる屈折異常です。光が網膜の一点に集まらず、像がぶれたり二重に映ります。
近視は焦点が網膜より手前、遠視は奥にずれます。一方の乱視では、焦点そのものが一つにまとまりません。
実際には多くの方がわずかな乱視を持っており、軽度なら日常生活で気づかないままです。見えにくさや疲れ目が続くときは、乱視の量と向きを検査で確かめます。
乱視の症状
乱視では、遠くも近くもすっきり見えにくくなります。文字や電線が二重に見えたり、輪郭が影を伴ってにじんで見えたりする状態です。夜間は瞳孔が広がるため、街灯や対向車のライトが放射状ににじみます(ハロー・グレア)。
ピントを合わせようと目に力が入り、目の奥の重さや頭痛につながることもあります。読書やパソコン作業が続くと集中力が落ち、途中で目を休めたくなる方も少なくありません。薄暗い場所や夕方以降に見えにくさが強まる点も、乱視の特徴です。
乱視の原因
乱視の主な原因は、角膜のかたちの偏りです。正常な角膜はほぼ球面ですが、乱視の目では縦横のカーブが違い、ラグビーボールに近い形になります。方向ごとに屈折力が変わるため、焦点が一点にまとまりません。角膜由来のものを角膜乱視、水晶体のゆがみや傾きによるものを水晶体乱視と呼びます。
乱視は単独で生じるより、近視や遠視と併発しているケースが目立ちます。近視性乱視や遠視性乱視では、ピントのずれと焦点の分散が重なり、眼精疲労を招きやすい状態です。
加齢や白内障、まぶたや角膜の手術後の変化でも、乱視の量は変わります。
乱視特有の矯正と子どもの注意点
乱視は円柱レンズを入れた眼鏡、または乱視用コンタクト(トーリックソフト・ハード)で矯正します。度数に加えて「軸」の合わせ方が見え方を左右するため、機械の測定値だけで決めず、実際に装用して確認する工程が欠かせません。
お子さまの注意点は次のとおりです。乱視用レンズの種類については、続く項目でご説明します。
お子さまの場合、強い乱視をそのままにすると鮮明な像が網膜に届かず、視力が十分に育ちません。この状態を弱視と呼び、就学前後までに矯正を始められるかどうかで見え方の伸びが変わります。3歳児健診や学校健診で乱視を指摘されたら、早めに受診してください。
トーリックレンズ(乱視用コンタクト)
乱視用のコンタクトレンズには、専用の設計が用いられています。
トーリックレンズは、乱視を補正する円柱度数が組み込まれたコンタクトレンズです。ソフトとハードの両方に設計があり、近視性乱視・遠視性乱視のどちらにも対応します。乱視の軸に合わせて向きが安定するよう、レンズの下側を厚くする設計などが施されています。
まばたきで回転しにくく、装用中の見え方が保たれやすい点が利点です。1日使い捨てタイプなら洗浄の手間がなく、部活や出張が多い方も扱いやすくなります。
一方で、度数や軸が合わないと逆に疲れやすくなります。必ず検査を受けてから処方を決めてください。
強度乱視にはハードコンタクト
強度乱視で頼りになるのが、ハードコンタクトレンズです。硬い素材のレンズは形を保ち、角膜との間に涙の層ができます。この涙の層が凹凸を埋め、光の通り道がなめらかになります。レンズ自体が新しい光学面となり、眼鏡では補正しにくい不規則な乱視にも対応できる点が特長です。円錐角膜のように角膜の形が大きく崩れた目でも、見え方が改善するケースもあります。
最初は異物感が出やすいので、装用時間を少しずつ延ばして慣らしていきましょう。涙の量が少ない方やずれが気になる方には、素材や直径を変えて調整します。見え方や装用感で気になる点は、遠慮なくご相談ください。
近視・遠視・乱視に共通する矯正・治療方法

近視・遠視・乱視は、いずれも入ってきた光の焦点が網膜からずれる屈折異常です。治療の柱は共通していて、ずれた焦点をレンズや手術で網膜上へ戻す考え方をとります。病気を消すのではなく、見えにくさを補って生活のしやすさを保つ目的があります。
もっとも基本になるのは眼鏡とコンタクトレンズです。年齢や度数の強さを問わず使え、度数が変わっても作り替えで対応できます。学童期は眼鏡を軸にし、部活や進学の時期にコンタクトを併用する方も少なくありません。
度数が安定している成人の方には、屈折矯正手術という道もあります。代表がレーシックとICL(眼内コンタクトレンズ)です。角膜を削る方法と眼内にレンズを入れる方法で、角膜の厚みや度数によって向き不向きが分かれます。まず検査で目の状態を確かめ、生活に合う方法を一緒に考えていきます。
眼鏡・コンタクトレンズ
近視には光を広げる凹レンズ、遠視には光を集める凸レンズを使います。乱視では、方向によって屈折力が異なる円柱レンズを組み合わせます。
大切なのは、その度数が今の目に合っているかどうかです。強すぎる度数も弱すぎる度数も、目の疲れや頭痛の引き金になります。
お子さまは調節力が強いため、点眼で調節を休ませてから測定します。学童期の近視は半年で進むことも珍しくありません。眼鏡は少なくとも年1回、コンタクトは装用状態の確認も含めて定期的に受診してください。
屈折矯正手術(レーシック・ICLなど)
屈折矯正手術は、角膜を削る方法と眼内にレンズを入れる方法があります。レーシックはエキシマレーザーで角膜を削り、屈折を調整します。ICLは虹彩と水晶体のあいだにレンズを固定する方法です。
ただし、誰でも受けられるわけではありません。角膜の厚みや円錐角膜の疑い、目の奥の病気、度数の変動を確認して適応を判断します。
手術後にハロー・グレアやドライアイ、見え方の戻りが生じることがあります。追加処置が必要になるケースもあり、術後の経過観察が大切です。
当院では検査と説明を行い、ご希望の方は当院グループの手術対応施設へご案内しています。いずれも自由診療で、公的医療保険の対象外です。費用は紹介先施設の設定により異なりますので、検査時に目安をお伝えします。
近視や乱視の手術について詳しく知りたい方は、こちらのページもあわせてご覧ください。
近視・遠視・乱視の検査について

見え方のご相談では、屈折の程度と目の奥の状態を合わせて確認します。当院で行う主な検査は次の3つです。
- 視力・屈折検査
- 眼軸長測定
- 眼底検査
それぞれの内容を順にご説明します。
視力・屈折検査
はじめに行うのが、視力と屈折の測定です。裸眼視力で現在の見え方を確認し、レンズを入れ替えながら矯正視力を調べます。
続いて、オートレフラクトメーター(近視・遠視・乱視の度合いを自動で測る機器)も使います。目に光を当てて、度数と乱視の軸を数値化する検査です。度数の単位はディオプトリー(D)で、マイナス表記が近視、プラス表記が遠視を表します。乱視は円柱度数(乱視の強さ)と軸の角度で記録します。
機器の数値と実際の見やすさは一致しないため、レンズを装用した状態での確認が欠かせません。お子さまでは、点眼で調節を休ませてから精密屈折検査を行い、隠れた遠視を探します。学校健診の再検査でも、この流れで見えにくさの原因を切り分けます。
眼軸長測定
眼軸長とは、角膜から網膜までの目の奥行きの長さです。この長さが伸びるほど、近視は強く出やすくなります。近視の進行の多くは、成長にともなう眼軸の伸びによって起こります。前述のとおり眼軸は元に戻らないため、伸びる速さを数値で追う意味があります。
測定に用いるのは光干渉式の機器で、目に触れずに数秒で終わる検査です。痛みがないため、お子さまでも落ち着いて受けていただけます。半年から1年ごとに記録を重ねると、成長に見合う伸びか速すぎる伸びかを比べられます。
伸びが速いときは、低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーなどの進行抑制をご相談ください。眼軸が大きく伸びた強度近視では、将来の網膜剥離や緑内障に注意が必要と考えています。視力の数字だけでなく、眼軸長という物差しでも経過を追っています。
眼底検査
眼底検査では、瞳を通して網膜や視神経、血管の状態を直接観察します。強い近視の目は前後に引き伸ばされ、網膜が薄く伸びた状態です。そのため、網膜に穴があく網膜円孔や網膜剥離が起こりやすいと知られています。後部ぶどう腫(眼球後方の壁が外側へ張り出す変化。腫瘍ではありません)や、視神経の変化をともなう病的近視も見逃せません。
病的近視では、網膜や視神経に元へ戻らない変化が生じることがあり、注意が必要です。検査は点眼で瞳を広げてから行い、終了後4〜5時間ほど、まぶしさとピントの合いにくさが続きます。効き方には個人差があり、半日ほど残る方もいます。当日はお車やバイクの運転を控えていただく必要があります。
飛蚊症や光が走るような感覚、視野の欠けを感じたときは、健診を待たずに受診してください。強度近視の方には、視力が良好でも年1回程度の眼底確認をおすすめしています。
当院の屈折異常治療の特徴

蒲田ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックは、JR蒲田駅から歩いて通える場所にあります。仕事帰りや学校帰りにも立ち寄りやすく、大田区蒲田周辺の方が続けて通える環境を整えました。屈折異常の診療では、一度の眼鏡処方で終わらせず、経過を追うことを大切にしています。
お子さまは眼軸長と度数の記録を重ね、進行の速さに応じて方針を見直します。大人の方には、パソコン作業や運転など生活場面に合った度数をご提案します。成長期から成人後まで、同じ記録をもとに続けて経過を確認できる体制です。見えにくさが気になるときは、どうぞお気軽にご相談ください。
成長期の近視進行抑制にも対応
当院では、オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼をご用意しています。しくみと注意点は前述のとおりです。オルソケラトロジーは、未成年の方には慎重処方としたうえで適応を判断します。いずれも自由診療を含むため、開始前に内容・費用・リスクを書面でご説明します。
方針は眼軸長の記録をもとに決め、部活動や学習環境も伺う流れです。角膜の傷や感染、点眼後のまぶしさといったリスクも事前にご説明します。
開始後は定期検査で角膜や見え方、眼軸長の変化を確認します。続けにくさや効果の出方に応じて、方法の切り替えもご提案します。
転居・セカンドオピニオンも歓迎
すでに他院で治療を受けている方のご相談もお受けしています。紹介状がなくても受診でき、今の治療を続けながら別の意見を聞くことも可能です。お手元に処方内容や検査結果があれば、経過の把握に役立ちます。転居や進学で通院先を変える必要が出たときも、これまでの経緯を伺ったうえで診療を引き継ぎます。
当院は大田区の蒲田駅から歩いてお越しいただける場所にあります。京急線や東急線の沿線からもお越しいただきやすく、JR川崎駅からは京浜東北線で約4分です。学校帰りやお仕事帰りの受診にも対応しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
近視・遠視・乱視は、いずれも光の焦点が網膜上でぴたりと結ばれない屈折異常です。原因となる目の形や見え方の特徴はそれぞれ異なり、必要な矯正の方法も変わります。眼鏡やコンタクトレンズで見え方を整えるほか、お子さまでは進行を抑える選択肢もあります。見えにくさや目の疲れ、頭痛が続くときは、我慢せずご相談ください。検査で状態を確かめ、生活に合う方法を一緒に考えます。
よくあるご質問
近視・遠視・乱視について、診察でよくいただく質問をまとめました。お子さまの視力低下、遠視と疲れ目の関係、眼鏡と近視進行の関わりなど、不安につながりやすい点を中心にお答えします。ここに載っていない疑問も、受診の際に遠慮なくお尋ねください。検査結果を見ながら、お一人ずつの見え方に合わせてご説明します。
子どもの視力が急に下がりました。すぐ受診すべきですか?
学童期の近視は、身長が伸びる時期に合わせて進みやすくなります。半年で度数が大きく変わる例もあるため、気づいた段階で受診してください。当院では視力や屈折の検査に加え、眼軸長を測定します。眼軸長は目の奥行きの長さで、近視の進み具合を数値で追える指標です。経過を記録しておくと、進行抑制治療を始めるかどうかの判断もしやすくなります。
遠視なのに遠くも見えにくいのはなぜですか?
遠視は、ピントが網膜より後ろで結ばれる状態です。若いうちは調節力で焦点を前に引き寄せ、遠くも近くも見えるように補っています。ただし遠視の度数が強い場合や、加齢で調節力が落ちてくると補いきれません。遠くの文字がぼやけたり、夕方になると見えにくくなったりします。常にピント合わせの筋肉を使うため、目の疲れや肩こり、頭痛の原因にもなります。検査で遠視の程度を確かめ、必要な度数をご案内しますので、ご相談ください。
近視と乱視は同時に起こりますか?
近視と乱視が重なる方は多く、珍しくありません。近視は眼軸の長さ、乱視は角膜や水晶体のゆがみが主な原因で、成り立ちが別だからです。眼鏡やコンタクトレンズでは、近視の度数と乱視の度数を組み合わせて矯正します。乱視を放置すると、夜間に光がにじんで見えたり、細かい字が読みづらくなったりします。見え方が気になるときは度数を測り直しますので、ご相談ください。
メガネをかけると近視が進むって本当ですか?
適切な度数の眼鏡が近視を進めるという根拠は確認されていません。むしろ見えにくい状態を我慢するほうが、目の負担や姿勢の乱れにつながります。注意したいのは、度数の合わない眼鏡を使い続けることです。強すぎる度数はピント調節に無理を生じさせます。成長期は見え方が変わりやすいため、定期的に度数を確認しましょう。学校の視力検査の結果もお持ちください。
参考文献・関連情報
- 公益社団法人 日本眼科医会 「屈折異常と眼精疲労 | 目についての健康情報」 | https://www.gankaikai.or.jp/health/28/index.html
- 公益財団法人 日本眼科学会 「近視進行抑制」 | https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item10.html
- 公益財団法人 日本眼科学会 「オルソケラトロジーガイドライン(第2版)」 | https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=310&dispmid=909
- 公益財団法人 日本眼科学会 「低濃度アトロピン点眼液を用いた近視進行抑制治療の手引き」 | https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=859&dispmid=909
記事の執筆・監修者プロフィール
理事長 小林 一博
- 日本眼科学会認定専門医
- 難病指定医
- 視覚障害者用補装具適合判定医師
- ボトックス認定医
- ICL(眼内コンタクトレンズ)認定医
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。