メガネやコンタクトレンズのわずらわしさを減らしたい。お子さまの近視の進みをゆるやかにしたい。そうしたご希望にお応えする選択肢の一つがオルソケラトロジーです。就寝中に専用レンズを装用し、日中を裸眼で過ごす視力矯正法になります。蒲田ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックでは、適応検査からレンズ選定、装用後の経過観察まで一人ひとりに合わせて対応します。
蒲田ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。
オルソケラトロジーとは

オルソケラトロジーは、酸素をよく通す特殊な素材のハードコンタクトレンズを用いた近視矯正法です。一般的なコンタクトレンズとの違いは、日中ではなく夜に装用する点にあります。
眠っている間にレンズが角膜(黒目の表面をおおう透明な膜)へごく軽い圧を加え、中央部のカーブをなだらかに整えます。角膜の形が変わると光の屈折も変わるため、網膜の上でピントが合うようになるのです。
朝にレンズを外しても整えられた形はしばらく保たれ、日中は裸眼で過ごせます。角膜を削る手術とは異なり、装用をやめれば時間をかけて元の形へ戻ります。途中でやめられる点から、お子さまの矯正方法として選ばれることも少なくありません。
近視が改善する仕組み

装用前・装用中・装用後の3段階に分けて、見え方が変わるしくみをご説明します。
装用前(近視の状態)
目に入った光は、角膜と水晶体で曲げられて網膜に届きます。焦点がちょうど網膜の上で結ばれると、遠くの景色がはっきり見えるという仕組みです。
近視の目では、角膜や水晶体の屈折力が強すぎたり、眼球の奥行きにあたる眼軸が長かったりします。そのため焦点が網膜より手前で結ばれ、遠くの文字や景色がぼやけてしまうのです。黒板や道路標識が読みにくいのは、この状態が関係しています。
装用中
眠る前にレンズを装用し、そのまま就寝していただきます。レンズは涙の層を介して角膜中央部をなだらかに平らにし、強すぎた屈折力をやわらげます。角膜を削るわけではないため、痛みを伴う処置ではありません。
十分な矯正効果を得る目安は、1晩あたり6時間以上の装用です。睡眠時間が6時間に満たない日が続くと角膜の形の変化が不十分になり、見え方が日によって変わります。生活リズムが不規則な方は、事前にご相談ください。
装用後(裸眼時)
朝、目が覚めたらレンズを外していただきます。角膜の形はすぐには元に戻らないため、日中は裸眼のまま過ごせるという流れです。
見え方が続く時間には個人差があり、始めて間もない時期は夕方になると見えにくさを感じることもあります。毎晩続けるうちに角膜の形が安定し、一日を通した見え方が整っていきます。
装用を中断すると数日かけて元の状態に戻りますので、継続を前提とした矯正方法とお考えください。
オルソケラトロジーが向いている方

オルソケラトロジーは、次のような方に適した視力矯正法です。
- 軽度から中等度の近視で、日中の見え方を改善したい方
- メガネやコンタクトレンズの着脱・ケアを負担に感じている方
- 野球やサッカー、水泳などを裸眼で楽しみたい方
- 汗やマスクでメガネが曇りやすい環境で働いている方
- お子さまの近視の進行をゆるやかにしたいと考えている保護者の方
- 手術には踏み切れないものの、裸眼の見え方を改善したい方
当てはまる項目があっても、角膜の形や度数によっては適さない場合があります。実際に始められるかどうかは検査で判断しますので、まずはご相談ください。
オルソケラトロジーのメリット・デメリット
オルソケラトロジーの利点と注意点を並べてご確認いただけます。ご自身やお子さまの生活に合うかどうか、判断の材料にしてください。
Merit
メリット
- 日中はレンズもメガネも使わず、裸眼のまま過ごせます
- 就寝中も矯正されるため、夜中に目が覚めたときも見え方に困りません
- 対象年齢の目安が6歳ごろから65歳ごろまでと幅広く、学童から中高年の方まで選べます
- 成長期のお子さまでは、近視の進行をゆるやかにする効果が報告されています
- 角膜を削る手術が不要で、体にメスを入れずに視力矯正に取り組めます
- 装用をやめれば角膜の形は元に戻るため、合わないと感じたときに中止できます
効果の出方には個人差がありますので、検査結果をもとにご説明します。
Demerit
デメリット
- レンズの洗浄と消毒を毎日行う必要があります
- 角膜の状態と効果を確認するため、定期的な通院が欠かせません
- 強度の近視や乱視、遠視では十分な矯正ができません
- 見え方が安定するまでに数日から数週間かかります
- 毎晩6時間以上の睡眠時間を確保できることが前提になります
ケアを怠ると角膜に傷がついたり、感染症が起きたりする危険が高まります。指示どおりの手入れと定期検査をお願いします。
オルソケラトロジー処方の流れ
適応検査
はじめに、オルソケラトロジーが目に合うかどうかを確かめます。屈折検査で近視や乱視の度数を測り、角膜形状解析でカーブの状態を調べます。あわせて眼圧検査、視力検査、角膜内皮細胞の検査、涙や目の表面の状態も確認。これらの結果と生活状況を照らし合わせ、適応を総合的に判断します。
装着テスト(トライアルレンズの試着)
院内でテストレンズを装用し、角膜へのなじみ方を確認します。つけ心地や涙の流れ、見え方の変化を診察しながら、適したレンズの種類やカーブを選んでいきます。
トライアル期間
適応が確認できたら、レンズをお貸しして自宅での使用を始めていただきます。原則として1週間後、2週間後、3週間後の計3回ご来院いただき、角膜の状態と裸眼視力の変化を確認。途中で痛みや強い違和感が出たときは、予約日を待たずにご連絡ください。
レンズの処方・購入
トライアル期間の経過に問題がなく、目標とする見え方が得られていれば、正式に処方してレンズをご購入いただきます。購入後も定期検査を続け、角膜の健康状態と度数の変化を一緒に見守ってまいります。
定期検診
装用を始めた後も、角膜の状態やレンズの汚れを確かめるために定期的な受診をお願いしています。受診の目安は購入から1か月後、2か月後、以降は3か月ごとです。見え方の変化や充血、痛みを感じたときは、次の予約日を待たずにご連絡ください。
オルソケラトロジーの費用
オルソケラトロジーは保険適用外の自由診療です。費用はすべて税込で表示しています。
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 適応検査 | 3,000円 |
| 装着テスト | 5,000円 |
| トライアル期間 | 3,000円 |
| レンズ(通常) | 片眼90,000円/両眼180,000円 |
| レンズ(学割・18歳以下) | 片眼80,000円/両眼140,000円 |
| 定期検診 | 1回3,000円 |
上記のほかに費用が生じる場合は、事前に内容と金額をご説明します。ご不明な点は、お電話または当院のお問い合わせ窓口までお寄せください。
治療にあたっての注意点

オルソケラトロジーに健康保険は使えません。適応検査からレンズ代、その後の定期検診まで全額が自己負担となります。治療を始める前に総額の目安をご確認のうえ、ご判断ください。
レンズの寿命はおおむね2年前後が目安です。表面に細かい傷が増えたり、わずかな変形が生じたりしたときは、2年を待たずに交換をおすすめします。破損や紛失の際は再購入の費用がかかります。
洗浄や消毒が不十分なまま装用を続けると、角膜の感染症や結膜炎を起こすことがあります。毎日のこすり洗いと保存ケースの定期的な交換、水道水で洗わないといった基本のケアを守れば、多くのトラブルは避けられます。目の痛みやかすみ、強い充血が出たときは装用を中止し、早めに受診してください。
まとめ
オルソケラトロジーは、就寝中に専用レンズを装用し、日中を裸眼で過ごす近視矯正法です。手術を伴わず、装用をやめれば角膜の形は少しずつ元に戻ります。お子さまの近視進行をゆるやかにする効果も報告されており、成長期の選択肢として広がってきました。メガネやコンタクトレンズの手間を減らしたい方、お子さまの近視が気になる保護者の方は、まず適応検査からご相談ください。
よくあるご質問
オルソケラトロジーについて、患者さまから多くいただくご質問をまとめました。
何歳から始められますか?大人でも受けられますか?
対象はおおむね6歳頃から65歳頃までです。角膜が回復しやすい年代ほど効果が得られやすい傾向があります。成人の方でも、近視や乱視の程度、角膜の形状、目の病気の有無によって適応は変わるため、検査結果をもとに医師が判断します。初めての方には適応検査からご案内していますので、お気軽にご相談ください。
睡眠時間が短い日があっても大丈夫ですか?
睡眠は6時間以上を目安にお願いしています。装用時間が足りない日が続くと角膜の形が十分に整わず、夕方に見えにくくなるなど、日によって見え方が変わります。就寝が遅くなった日は、起床を少し遅らせて装用時間を確保してください。短時間睡眠が続いて見え方が安定しないときは、検診の際にお知らせください。
健康保険は使えますか?レンズはどのくらい使えますか?
オルソケラトロジーは自由診療のため、健康保険は使えません。適応検査・レンズ・定期検診のいずれも全額自己負担です。レンズの寿命はおおむね2年前後が目安ですが、取り扱い方や日々のケアの状況で差が出ます。傷や変形が進むと見え方と安全性に影響するため、検診のたびに状態を確認してお伝えします。
参考文献・関連情報
- 日本コンタクトレンズ学会(作成主体)/日本眼科学会ウェブサイト掲載(日本眼科学会雑誌 第121巻6号掲載、2017年公表)「オルソケラトロジーガイドライン(第2版)」
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=310&dispmid=909 - 公益財団法人 日本眼科学会「近視進行抑制|日本眼科学会による病気の解説」
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item10.html - 公益財団法人 日本眼科学会(2014年7月公表)「コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)」
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=298&dispmid=909 - 公益社団法人 日本眼科医会(目についての健康情報)「子どものコンタクトレンズQ&A」
https://www.gankaikai.or.jp/health/44/index.html
記事の執筆・監修者プロフィール
理事長 小林 一博
- 日本眼科学会認定専門医
- 難病指定医
- 視覚障害者用補装具適合判定医師
- ボトックス認定医
- ICL(眼内コンタクトレンズ)認定医
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。